グラスゴーで行われている世界体操選手権で内村航平選手が個人総合金メダルを取りました。

2009年のロンドン大会からの6連覇です。まさに前人未到の快挙です。内村さんおめでとうございます。 

6連覇は間違いないと思っていましたが、何が起こるか分からないのが体操。やはりハラハラする試合展開でした。内村さんは終始、首位をキープしていましたが、4種目終了時点でキューバの新星ラルデュエ選手に0.1以下の差まで迫られました。 残るは、内村選手にとってポイントの平行棒と、最終種目の鉄棒。

その平行棒は、全くミスのない完璧な演技と持ち前の美しい身のこなしで、なんと15.8台に乗せる高得点を叩き出し、一気に引き離します。

最終種目の鉄棒では、最終演技で世界中の注目を浴びる中、内村さんの一人舞台。13点後半を出せば優勝という点差だったので、大きなミスが無ければ優勝できるというシチュエーション。伸身のコバチを見事に決め、団体で落下したカッシーナ を抜く安全策をとり、コールマンでは少しつまり車輪まで持って行けませんでしたが、最後の着地はマットに吸い付くような神がかった着地!
これで、会場が大いに盛り上がり点数は15.100。

終わって見れば、Dスコアの低いつり輪を除き、他の5種目で15点台を叩き出し、92点台の高得点で、2位のラルデュエ選手に1.8の差を付けての優勝でした。実に素晴らしい戦いでした。

6連覇どれだけ大変なことか。かつて、世界選手権・オリンピックで団体10連覇をしていた頃、監物さんや、笠松さんが個人総合で金を取りましたが、その次の回ではメダルに届くかどうかという感じでした。もっとも、この頃の世界選手権は、毎年では無く、4年あるいは2年に一回しか無かったのですが。

技がどんどん進化し、各選手Dスコアを上げてきて試合に望んできているなか、チャンピオンの内村さんも守りの姿勢には入らず、自らもDスコアを上げ技の完成度を追求していく。この向上心と、本番で6種目を完璧に演技してくる精神力の強さ、これだけの才能と努力に裏付けられた確実な技術を持っている選手は他に現れないではないかとまで思えます。
あのニコライ・アンドリアノフですら、個人総合のタイトルはオリンピックと世界選手権の各1個しか無いのです。