計算問題が苦手な方もいると思います。

しかし、過去の問題を分析すると、それほど多くの式を覚える必要はなく、学科一般に出てきた式と、単位の変換、移動速度の計算、気温減率の計算などができればほぼ解けます。

私は仕事柄、毎日難しい式を眺めているのですが、実際には愛用の関数電卓、Excelを使って計算します。ところが、気象予報士試験は電卓持ち込み不可なので、複雑な計算を手計算でやらなくてはなりません。

例えば、熊谷の地表面での空気密度を求めろ。(第39回実技1)という問題では、
 1010×100/(280×287)
今回(第43回実技1)のうねりの移動距離の計算では、
 3.6×9.8×10/(4×3.1)×12
など、ちょっと慣れていないと手計算では大変です

1.計算を早く確実にこなすために
この歳だと、時間のプレッシャーの中で、3桁の掛け算、割り算は少々きついです。今回の試験で、ことごとく計算ミスをしたので、次の本を買って勉強をし始めたところでした。

計算力を強くする 完全ドリル : 先を読む力を磨くために (ブルーバックス)

ここでは、次の様なテクニックを紹介してます。
(偶数)×(5の倍数) ⇒ {(偶数)÷2}×{(5の倍数)×2}
例えば、25ノットで進む擾乱は24時間で何海里移動するか? という計算は、
24✕25=12✕50=600 と簡単に計算できます。

他にもいろいろなテクニックを紹介しているので、少しでも計算の作業を簡単に確実にするため参考にされてはいかがでしょうか。他にも、似たような本はいっぱい出版されています。

2.どこまで有効数字が必要か?
・少しでも計算を簡単にするために、計算の桁数は少ない方がいいわけです。求められる精度が、10刻みで答えよなど、指定されているので、必要のない桁まで計算すると時間のロス、間違いの元になります。

ノットをm/sec.に変換するには、**ノットに0.514を掛けるということが教科書に書かれていると思います。本当に1000分の1の桁まで計算する必要があるかというと、全くなく、×0.51で十分な精度しか解答では求められていません。

(ノット)×0.51 は、次の様に分解できます。 (ノット)÷2+(ノット)の1% 

例えば、55ノットは、 55÷2+55×0.01 ⇒ 27.5+0.55=28.05 m/sとなります。
55×0.514の答え28.27と比較しても、十分な精度。そして暗算で計算できます。

3.変化量として考える
第43回実技1の問5では、ある条件の時の潮位偏差の150cmが、風速が26m/sとなったらいくつになるか?という問いでした。(ある条件;気圧963hPa、風速20m/s)
潮位偏差Hは、①吸い上げ効果によるもの、②吹き寄せ効果によるもの、があり教科書にも次の経験式で計算できると書いてあります。
 H=a(p0-p)+bV^2cosθ
 但し、a,bは定数、p0は周辺気圧、pはその場所の気圧、Vは風速、θは風と海岸線の法線の角度
この式の第1項が①、第2項が②に相当します。

しかし、この式を覚えている方も少なかったと思いますが、②はVの2乗に比例すると覚えていれば、それだけで解答を導き出せます。
つまり、風速が26/20=1.3倍になったので、②は1.3^2倍になることから、初期条件での②の値に1.7倍することで②の効果の成分が分かります。これに、①の効果分を足せば、潮位偏差となるわけです。
実に、シンプルにこの問題は解くことができます。